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寝る前に。


何となく、ふと思いついた話をのせてみる。

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「旅人」



ある所に花が咲いていた。

二輪の花。

小さいながらも美しい花だった。

その土地を干ばつが襲った。

花は渇いていた。

一つの花は、渇きに我慢が出来なかった。根を広げ伸ばし、ありとあらゆる流れを求め、争いで流れた血、獣の小便、汚れた流れもかまわず飲み干し、渇きを潤すものを求め続けた。
その花は色鮮やかに咲き誇っていた。
まるで世界をなめ回し爛々と目を光らせているかのようだった。

もう一つの花は、渇いていたが美しい清水を求めて深く深く根を下ろした。清い清い一滴。わずかに潤すたった一粒の水を願って深淵を見据え根を沈めた。
その花は渇ききっていた。
しかし天から引っ張られでもしているかのようにまっすぐに立っていた。



旅人が通りかかった。

二つの花を見て、干ばつの中に残る力強さを感じ、両方とも摘み取って家に持ち帰った。

家で待つ母にその花を見せた。

美しく咲き誇る花を見て、感嘆の声を上げ、もっとよく見ようと顔を近づけると、まるで生きたまま腐り続けているような臭いで涙が出る程だった。顔をしかめて花を外に放り投げ焼き捨てるように言った。

もう一つの花は、枯れかけ色褪せてはいたが、何か不思議な命の芯に支えられているようだった。あわれに思った母は、器に少しの水を入れ、その花を生けた。驚いた事に、その花はすぐに瑞々しさを取り戻し、えも言われぬ豊かな香りを出し始めた。心の奥深くに染み入るような香りはこの世界を清めるいのちの美しさを思わせた。




母は言った。「この花のような人であるように。」

「例えこの世に並ぶものの無いような美しい姿だとしても、醜い香りに、この花が生きてきた世界の汚れが見えます。」

「たとえ姿はみすぼらしくあわれで小さいものだったとしても、深淵からのぼるような清い香りに、この花が求めたいのちの深さが見えます。立ち上るその香りとともに、遥か天まで引き上げられるようです。」

「お前も真っすぐ深く立つ人であるように。」





その花は枯れる事無く世界の終わりまで咲き続けた。





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何となく、ふと思いついた話をのせてみた。

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